女性の肌の大きな悩みの一つである顔のニキビの原因として知られている「アクネ菌」について研究を進めてきました。
ニキビ発生のメカニズム
ニキビ発生は、毛穴がつまることから始まります。毛穴がつまると、毛穴の中に皮脂がたまり、この皮脂をえさにしてアクネ菌が増殖し始めます。そしてアクネ菌がつくり出す酵素リパーゼによって、皮脂が分解されて遊離脂肪酸が作られます。この遊離脂肪酸が炎症を引き起こしてニキビとなります。
アクネ菌の遺伝子レベルでの分類
DNA解析の手法の一つであるRAPD法(Randam Amplified Polymorphic DNA Method)にて、アクネ菌を遺伝子レベルで分類しました。下の写真がアクネ菌のDNAのパターンを電気泳動を用いて解析した結果です。白いバンドの配置によって、アクネ菌のDNAタイプの違いを判断することができます。解析の結果、アクネ菌のDNAタイプはD1、D2、D3、D1/D3の4種類に分類されることわかりました。
さらに、これらのアクネ菌がつくり出すリパーゼの活性を調べたところ、D3とD1/D3が高い活性を示しました。
ニキビ患部のアクネ菌
ニキビ患部に存在するアクネ菌のDNAタイプについても調べました。その結果、D3が圧倒的に多いことがわかりました。さらに、10代から30代までの年代別にDNAタイプを確認したところ、年代に関わらず、D3が多いことがわかりました。また、健常皮膚であっても、ニキビの多い10代にD3が特に多いこともわかりました。
以上のことから、D3がニキビ発生に大きく関わる菌であると言えます。
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幹細胞に関する研究について積極的に行い、多角的な分野で研究しています。