シミのある部分に特異的に分泌している物質があることを発見!
シミは女性の大きな悩みです。シミは、肌が紫外線を浴び続け、メラニン(色素)が過剰に生成されることで発生します。メラニンを生成しているのはメラノサイトと呼ばれる細胞です。
メラノサイトは、色素幹細胞からメラノブラストを経て分化成長した細胞です。色素幹細胞の研究を進めていったところ、メラニン生成に関わる細胞の数が増えていることがわかりました。さらに、シミのある部分に特異的に分泌している物質があることを発見しました。
1. シミのある部分では、色素幹細胞、メラノブラスト、メラノサイトが多く存在している。
シミのある部分とない部分の肌のメラニン生成に関わる3つの細胞の数を比較しました。その結果、全ての細胞がシミのある部分で多くなっていることがわかりました。
シミのある部分では、表皮細胞から「WNT1※」というタンパク質が分泌されている
シミのある部分とない部分の肌の違いを研究する中で、WNT1というタンパクがシミのある部分に多く分泌されていることがわかりました。
※WNT1:wingless-type MMTV integration site family, member 1
また、このWNT1が出る要因に、WNT1の遺伝子を制御している部分の「メチル化」が関わっていることも突き止め、WNT1はシミのある部分で恒常的に分泌されていることがわかりました。
2. WNT1には、色素幹細胞を刺激して、色素幹細胞の増殖やメラノブラストへの分化を促進する作用がある
WNT1は、紫外線などの刺激を継続的に受けることによって表皮細胞から分泌されるようになります。そして、WNT1には、色素幹細胞を刺激して、色素幹細胞を増殖させたり、色素幹細胞からメラノブラストへの分化を促進する作用があることを見い出しました。
その結果、色素幹細胞とメラノブラストを増やし、最終的にメラノサイトの数が増えてしまいます。それによって、メラニンが過剰に生成されるようになり、シミが発生します。
WNT1の遺伝子のメチル化について
たちの身体の全ての細胞には同じ遺伝子が存在していますが、細胞の種類によって、必要な遺伝子が異なるため、必要のない遺伝子には「鍵」が掛けられ発現しないようになっています。その鍵の役割をしているのが「メチル化」です。通常はWNT1がメチル化されているため「鍵」がかかった状態ですが、長年の紫外線などのダメージによって、メチル化が外れて「鍵」が開けられて恒常的に出るようになります。
表皮細胞のもととなる表皮幹細胞に紫外線を連続照射してメチル化の量の変化を確認しました。その結果、紫外線連続照射によって、メチル化の量が減り、WNT1の量が増えることを見い出しました。
「美白」の記事一覧
- 色素幹細胞研究を応用した、シミの発生原因の研究2
- 色素幹細胞研究を応用した、シミの発生原因の研究
- 新しいシミ発生メカニズムを解明
- 肌の透明感が低下する原因を解明
幹細胞の多角的研究
幹細胞に関する研究について積極的に行い、多角的な分野で研究しています。
- 皮膚の「幹細胞」の研究(抗老化)
- 首のシワ・タルミの原因を、幹細胞研究から解明(抗老化)
- 色素幹細胞研究を応用した、シミの発生原因の研究(美白)
- 色素幹細胞研究を応用した、シミの発生原因の研究2(美白)
- 香りで幹細胞が元気になる(心理的効果)