肌には、乾燥や外部刺激から肌を守る「バリア機能」が存在します。バリア機能が低いと肌が乾燥したり、刺激に敏感になったりするなど、バリア機能は肌状態を左右するため、皮膚研究や化粧品評価に重要です。 化粧品の研究開発にはヒトの皮膚を再現した「三次元培養皮膚モデル(※)」が広く用いられますが、バリア機能が高い肌、低い肌といった異なる肌状態を安定して再現することは困難でした。 メナードは、三次元培養表皮モデルの作製にゲノム編集技術を応用することで、様々なレベルのバリア機能を持つ表皮モデルの開発に成功しました。
※細胞から作製する、皮膚構造を再現したモデル。メナードでは2003年から培ってきた幹細胞の培養技術を活かし、よりヒトの皮膚に近い独自のモデル作製に取り組んでいます。
ゲノム編集を応用し、バリア機能が低下した三次元培養表皮モデルを作製
ゲノム編集は、DNAを切断する酵素とその酵素を任意のDNAの領域に運ぶ塩基配列(ガイドRNA)を同時に細胞内に導入し、目的の部位で遺伝子を変化させる技術です。
表皮のバリア機能は複数の因子によって維持されていますが、メナードは、その中でも特に重要なフィラグリン(※)に注目し、表皮幹細胞の遺伝子編集を行い、機能が低下した未熟なフィラグリンしか作れない表皮幹細胞を作製しました。この幹細胞を用いて作成した三次元培養表皮モデルは、組織構造が薄く、また、外部からの物質を容易に通過させるといったバリア機能が低下した表皮の特徴を示しました。
※フィラグリン:表皮細胞が産生するタンパク質のひとつ。表皮の水分保持や構造維持などさまざまな働きをする。
様々な肌状態の再現が可能
正常な表皮幹細胞とフィラグリン遺伝子編集表皮幹細胞とを比率を変えながら組み合わせて三次元培養表皮モデルを作製しました。その結果、組合せの比率に応じて水分蒸散量が段階的に増加していく三次元培養表皮モデルができ、従来では困難だった“バリア機能のレベルを制御する”ことが可能になりました。 この三次元培養表皮モデルは、様々な肌状態を再現することが可能で、今まで検出が難しかった低刺激性の物質にも応答するモデルなどへ応用できます。
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