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美しさにまごころこめて

日本メナード化粧品株式会社

HOME 研究・商品開発 主な研究 メイクアップ化粧品の客観的な使用感評価方法を確立

メイクアップ化粧品には、何種類もの粉体が使用されています。各粉体の形状や大きさは様々で、使用感が異なるため、メイクアップ化粧品の使用感にも大きく影響を与えます。そのため、心地の良い使用感のメイクアップ化粧品を開発するためには、原料レベルから粉体の使用感を理解することが非常に重要です。使用感の評価手法には、官能評価と物性評価があります。評価に客観性を持たせるために、官能評価と物性評価の相関性に関する研究が盛んに行われていますが、粉体の評価に関しては物性評価が困難であるため、研究例が少ないのが実情でした。そこで、粉体の物性を評価する装置の開発に取り組み、実使用の官能評価と、測定によって得られた物性値を相関付け、粉体の「すべり性」と「しっとり感」の客観的な評価方法の確立に成功しました。

粉体の特性を評価する装置を開発

粉体の客観的な評価方法は、医薬品や食品分野では既に活用されています。今回、食品や医薬品分野で活用されている粉体の流動性を測定する装置を化粧品用にアレンジし、物性評価を試みました。この装置は、円筒部分に粉体を入れ(①)、上から圧密をかけて測定に適した疑似的な連続体をつくり(②)、徐々に横方向にせん断して(③)その時に発生する摩擦力や付着力を測定し、評価します。

粉体の特性を評価する装置を開発

この装置によって得られた粉体特性を官能評価結果と照らし合わせた結果、「内部摩擦係数」が官能評価の「すべり性」と高い相関性のあることがわかりました。さらに、しっとり感のある粉体は、「せん断付着応力」の値が高いこともわかりました。これにより、すべり性としっとり感に関する客観的評価方法を独自に確立することに成功しました。確立した評価方法を利用することによって、原料の特性をしっかり把握でき、メイクアップ化粧品の開発に生かすことができます。

内部摩擦係数とすべり性の相関、せん断付着応力としっとり感の相関

ファンデーション評価への応用

ファンデーションの客観的使用感評価今回確立した評価方法は、メイクアップ化粧品の機能性を示す客観的データとしても利用できます。パウダーファンデーションの成型方法は、乾式プレスと湿式プレスがあり、その違いが使用感にも現れるため、比較評価しました。その結果、湿式プレスのほうが「せん断付着応力」が高い結果となり、官能評価で得られるしっとり感の結果と一致しました。
ファンデーションの機能性を客観的データに基づいて示すことは、特長をわかりやすく伝えることにつながります。

この研究成果は、国立研究開発法人 産業技術総合研究所 中部センターと三信鉱工こうこう株式会社、株式会社ナノシーズと共同で、平成26年度、平成27年度の「新あいち創造研究開発補助金」事業の助成を受けて実施しました。

  • 粉体工学会誌 Vol.52 No.12 (2015)
※すべて自社データ ※すべての図、イラストはイメージ
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