様々な色の反射光を発するパール剤は、その反射光の色や強度、拡がりをコントロールすることで様々なメイクアップの演出効果を発揮します。リアリティのある立体感を演出する粉体の開発を目指し、緑色の干渉パール(雲母チタン)に、球状粉体を均一に付着させた複合粉体を開発しました。
年齢を重ねると、顔の立体感が損なわれる
年齢を重ね、肌がハリを失いほほ全体がたるんでしまうと、顔は平坦に見えます。顔の形状変化を三次元計測カメラで撮影し画像解析すると、年齢を重ねてもほほの一番高い部分の位置は変わりませんが、ほほの下の部分がたるんで、顔の立体感が損なわれていることがわかりました。
リアリティのある立体感を生み出す
メイクアップ効果で立体感を演出するために、ほほの下のたるみをひきしめる効果を持たせることを目指しました。そのために、コンピュータグラフィックスで用いられている、リアリティのある立体感を表現する方法を応用しました。それは、光と影に、血色などの色味を加えることです。すなわち、光の明暗に、血色を感じさせる赤色を加えることにより、フェイスラインに自然な陰影が生まれ、リアリティのある立体感を演出することができます。今回は、緑色の干渉パールを選択し、さらに反射光の拡がりをコントロールするために表面処理をして、リアリティのある立体感を演出する複合粉体を開発しました。
緑色の干渉パールの選択
緑色の干渉パールは、表面の反射光が緑色で、透過光が緑色の補色である赤色の粉体です。この赤色の透過光が肌内部へ拡散することで、フェイスライン周辺部が赤色を帯びながら影のような暗い光の反射になります。この特性が、フェイスラインに血色を感じさせる赤色の陰影として認識させる効果を生みます。
反射光の拡がりをコントロールする、粉体の表面処理技術
パール剤は正反射が強いため、そのまま配合するとぎらついたり、顔を膨張させて見せることにつながります。フェイスラインがすっきりとした立体感を生み出すためには、パール剤の正反射の強さを生かしつつ、周辺へ拡がる反射光を抑えることが必要です。そのため、パール剤の表面に球状粉体を付着させて反射光をコントロールしました。今回は、球状粉体の付着量を検討し、反射光の拡がりを最も抑えられるようにしました。
緑色の干渉パールの選択と、表面処理技術によって完成した複合粉体は、血色を感じさせる赤色の陰影と、拡がりを抑えた明るい反射光の効果で、リアリティのある立体感を演出し、若々しい印象に導きます。
- 平成27年度 新あいち創造研究開発補助金による研究成果