メイクアップには、美しく彩ったり、華やかに装う効果の他、気分を高揚させたり、リラックスさせるなどの心理的効果があることが知られています。
メイクアップが及ぼす心理的影響を、内分泌系の指標や、生体防御機能の一つである「抗酸化能」に着目して確認しました。
内分泌系に及ぼす影響
メイクアップ前後の唾液を採取し、ストレスを受けた時に増加するホルモンであるコルチゾ-ルを指標に影響を確認しました。その結果、唾液中のコルチゾール濃度はメイクアップ後に減少し、ストレスが軽減されたことがわかりました。
※自社データ抗酸化能に及ぼす影響
細胞にダメージを与えて身体を老化させることが知られている活性酸素は、毎日の生活の中で全身の至る所に発生しています。私たちの身体には、この活性酸素を消去する機能(抗酸化能)が備わっており、SOD(スーパーオキシドジスムターゼ)やカタラーゼといった酵素がその機能を担っています。
メイクアップ前後の唾液を採取し、SODとカタラーゼの酵素活性を測定しました。その結果、メイクアップ後には両酵素の活性が有意に上昇していることがわかりました。
以上の結果により、メイクアップによる気分の高揚やリラクゼーション効果などの心理的効果が、生体防御機能の1つである抗酸化能を高めることを証明しました。身体の抗酸化能は、加齢とともに低下していくことが知られています。この研究成果によって、女性が毎日行っているメイクアップが身体の抗酸化能を向上させ、活性酸素が原因で生じるシミやシワを予防する美容効果の他、健康の維持向上にも期待できることを示しました。
さらに、酵素活性の実験と平行して、「活気」、「不安や緊張」など、気分の状態を把握するPOMSと呼ばれる心理状態検査を行った結果、メイクアップによって「活気」が向上し、「不安や緊張」が和らぐ方向に推移しました。これにより、「気分の高揚」や「リラクゼーション効果」の心理的効果のあることも証明できました。
- 日本健康心理学会 第18回大会(2005)