これまで、ニキビの原因菌はアクネ菌と考えられてきました。毛穴がふさがるとアクネ菌が毛穴の中で増殖し、アクネ菌が産生する酵素リパーゼによって炎症がおこり、ニキビになります。今回、ニキビの中の皮膚常在菌について研究し、ニキビの中に、真菌「マラセチア」も存在しており、ニキビに大いに関わっていることを明らかにしました。
ニキビの中にマラセチアが存在しているのを発見
今回、ニキビ病巣部や皮膚表面の微生物について研究を進めた結果、ニキビの中にアクネ菌と真菌「マラセチア」が30:1の割合で存在していることを発見しました。マラセチアとニキビの関わりは知られておらず、これまでの常識を覆す新発見です。
さらに、ニキビの炎症の原因となる酵素リパーゼの活性について研究した結果、マラセチア1個から産生されるリパーゼは、アクネ菌60個から産生されるリパーゼに比べて3倍も活性が高いことがわかりました。菌1個当たりに換算すると、マラセチアのリパーゼはアクネ菌のリパーゼに比べて180倍も活性が高いと言えます。また、マラセチアはアクネ菌より大きく、1個の影響力は大きいと考えられます。以上のことから、ニキビには、アクネ菌だけでなくマラセチアも大いに関わっていることが明らかになりました。
今回の新発見により、ニキビを防ぐためには、アクネ菌とマラセチアの両方に対してアプローチすることが重要であるとわかりました。
- The Journal of Dermatology, 43, 906-911 (2016)
- 第33回 日本美容皮膚科学会学術大会 (2015)