肌荒れは、皮膚表面の角質細胞がはがれやすくなり、カサつきやごわつきのある状態のことを指します。肌荒れが起こる要因は、ストレスや寝不足、食生活の乱れなど、様々あると言われていますが、肌内部でのメカニズムは解明されていませんでした。
肌荒れが起きるメカニズムを解明するため、健康な肌と荒れた肌の角質細胞を採取し、それら細胞の30,000種類の遺伝子発現量を調べ、比較しました。その結果、肌荒れを起こしている肌では、SPRR1B※というタンパク質の遺伝子が過剰に発現していることがわかりました。
角質細胞の最外層には、角質細胞の内部を守るCE※(コーニファイドエンベロープ)と呼ばれる膜があり、SPRR1Bはこの膜形成に必要なタンパク質です。SPRR1Bが過剰に生成されることによって膜が不均一になり、異常な角質細胞がつくられてしまうことがわかりました。
異常な角質細胞では、角質細胞内のうるおいが保たれないだけでなく、角質層の重要な役割である肌を守るバリア機能が十分に発揮できず、肌荒れが起きます。肌荒れを防ぐには、角質細胞の膜が正常に形成されることが重要といえます。
※SPRR1B :small proline-rich protein 1B
※CE:cornified envelope
CEが不均一で角質細胞が異常な肌は、角質細胞自体の水分量が保持できない上、肌の内部の水分蒸散を抑えられず、肌内部を守るバリア機能を発揮することができなくなります。その結果、肌荒れが起こります。
- The 9th Scientific Conference of the Asian Societies of Cosmetic Scientist (2008)