紫外線は、シミやシワなどの肌悩みにつながる美肌の大敵です。肌が本来持つ紫外線に対する抵抗力について研究するなかで、紫外線吸収作用を持ち “天然のサンスクリーン成分”といわれる「ウロカニン酸」に着目して研究を進めました。

肌のウロカニン酸量とメラニンの関連
肌のウロカニン酸量とメラニン量との関連を調査した結果、肌のウロカニン酸の量が少ない人ほどメラニンの量が多いことがわかりました。この結果より、肌のウロカニン酸量が少ないと紫外線の影響を受けやすくなり、メラニンの産生が亢進すると考えられます。

肌のウロカニン酸の生成メカニズムと紫外線の影響
公共のデータベースを活用したバイオインフォマティクス解析※により、肌の紫外線に対する抵抗力には、ヒスチジンをウロカニン酸へ変換する酵素「ヒスチジンアンモニアリアーゼ(HAL)」と、HALの発現を促す転写因子「CEBPB」が大きく関わっていることが推測されました。
※バイオインフォマティクス解析:生物学的なデータを、情報科学(統計学やプログラミング手法など)を用いて解析する手法。

表皮細胞を用いた実験から、紫外線によってCEBPBの発現量が低下すること、また、それに伴いHALの発現量も低下することを確認しました。つまり、肌が紫外線にさらされるとHALの発現量が低下し、ウロカニン酸の産生が不十分になって紫外線を防ぐ力が弱くなり、メラニンが増加しやすくなると推測されました。

- The 33rd IFSCC Congress Barcelona(2023)