紫外線をくり返し浴び続けると、顔にシワやタルミが現れていきます。くり返し浴びる紫外線によって起こる老化現象は、「光老化」と呼ばれています。
その原因は、紫外線によって、真皮を構成するコラーゲンなどの真皮成分のつくられる量が減少してしまうことと、真皮成分を分解する酵素が発生して真皮成分が壊れてしまうことです。
光老化によるコラーゲンの減少は一律ではなく、真皮の中でも特に肌表面に近い乳頭層から減少することを発見しました。さらに、真皮モデルを用いた実験によって、乳頭層のコラーゲンが減ると真皮全体の弾力性が低下することもわかりました。つまり、光老化は真皮の乳頭層から進行します。
乳頭層のコラーゲン減少による真皮全体の弾力性低下は、肌のつやを低下させる
つやのある肌とつやの低下した肌について調べたところ、毛穴やキメとは異なる肌表面の小さな凹凸が、つやのある肌では少なく、つやの低下した肌では多いことがわかりました。真皮全体の弾力性が高いとふっくらとしたハリがあるため小さな凹凸が少なく目立ちませんが、真皮全体の弾力性が低下すると、しぼんだようにハリがなくなり小さな凹凸が多くなってしまいます。
「テネイシン C 」はハリやつやのもと
乳頭層には、乳頭層のコラーゲンをつくるために必要不可欠なテネイシン Cという糖タンパク質が特徴的に存在することを発見しました。また、テネイシン Cは紫外線を繰り返し浴びることで減少することも発見しました。テネイシン Cが減少すると、乳頭層の線維芽細胞はコラーゲンをつくれなくなってしまうため乳頭層のコラーゲンが減少し、真皮全体の弾力性が低下します。その結果、肌表面に小さな凹凸が増え、肌のハリとつやが低下します。
- 第31回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)学術大会(2020)