目の下がたるんでくると、老けた印象になってしまいます。また、目の下のタルミは、目もとの老化現象の中でも、加齢とともに悩みとして大きくなることがアンケートによってわかりました。そこで、目の下のタルミの原因について、研究を進めました。
眼輪筋の薄化によって現れる「目の下のタルミ」
目の下がたるむ原因は、眼輪筋の薄化によって眼窩(がんか)脂肪が前に出てくることです。眼輪筋は、目の周りにある円盤状の筋肉です。まばたきや目を閉じるときに使われます。眼球は骨で支えられていない部分であるため、眼窩脂肪がクッションの役割を果たして眼球を守っています。そして、眼輪筋が眼窩脂肪を支えています。しかし、加齢によって眼輪筋が薄くなると眼窩脂肪を支えられなくなって、目の下のタルミが現れてしまうのです。
加齢によって筋管形成能力が低下する
眼輪筋は、そのもととなる筋芽細胞が集合・融合して筋管を形成したのち、筋線維となり、その後、様々な段階を経てつくられます。眼輪筋となるまでの重要な過程が筋管形成であり、その筋管形成を促す役割を、IGF-1*という成長因子が担っています。IGF-1は、真皮の線維芽細胞から出て筋芽細胞に働きかけますが、我々の研究により、線維芽細胞からつくられるIGF-1の量が、加齢によって減少することを見出しました。この加齢によるIGF-1の減少が、眼輪筋の薄化の原因となると考えられます。
*IGF-1:Insulin-like growth factor-1