リンパ管は、血管と同様に体内に張り巡らされており、体内の老廃物を排出する機能を担っています。肌では真皮に存在していますが、紫外線によって機能が低下することが知られています。この研究では、紫外線によって肌のリンパ管の機能が低下する原因を研究し、メカニズムを解明しました。
顔の肌のリンパ管
真皮に存在し、毛細血管に寄り添うように存在しており、毛細リンパ管のことを指します。肌の中の老廃物を排出する役割があります。
毛細リンパ管は、リンパ管内皮細胞が一層に並んで管を構成しています。
リンパ管形成メカニズム
角化細胞から「VEGF-C」というリンパ管形成因子が分泌され、リンパ管内皮細胞の膜表面に存在するレセプターである「VEGFR3」に結合し、細胞が増殖します。増殖した細胞が管腔を形成します。これを繰り返し、常に新しいリンパ管が作られていきます。
リンパ管に対する紫外線の影響
紫外線によって角化細胞から分泌されるIL-1αを、リンパ管内皮細胞に添加し、VEGFR3 の発現量の変化を確認しました。その結果、IL-1α添加によってVEGFR3 の発現量が減少することを発見しました。さらに、リンパ管内皮細胞を培養して、管腔を形成させる実験系にて、IL-1α添加による影響を確認しました。その結果、IL-1αを添加することにより、管が細くなり、管腔形成が妨げられていることを確認しました。IL-1αによって、VEGFR3 が減少することで、リンパ管内皮細胞の増殖が低下し、リンパ管の形成が滞るため、機能低下が起こることがわかりました。