成長ホルモンが美肌に関わっていることが知られています。成長ホルモンは睡眠中に脳下垂体から分泌され、全身に働きかけています。成長ホルモンが肝臓からの IGF-1(insulin-like growth factors1:成長因子)の分泌を促し、その IGF-1 が肌細胞に働きかけて、美肌成分(うるおい成分やコラーゲンなど)の生成を促進します。このように、成長ホルモンは、夜にIGF-1 を介して肌細胞の働きを高め、昼間のダメージから回復させることで美肌を保っています。しかし、肌は加齢とともに衰えていきます。
加齢によってIGFBP4が増えてIGF-1の美肌効果を妨げていた
IGF-1による美肌効果の加齢変化を、肌の細胞を用いて確認しました。表皮の角化細胞は、細胞の老化を誘導する試薬(BrdU)を添加することによって、真皮の線維芽細胞は、継代培養することによって老化モデル細胞を作製して確認しました。その結果、角化細胞と線維芽細胞のどちらの老化モデル細胞もIGFBP4 mRNAの発現量が増加することを発見しました。IGFBP4は、IGF-1の働きを阻害するタンパク質です。
このことから、加齢によるIGFBP4の増加によって、IGF-1の肌の細胞への働きかけが阻害され、成長ホルモンによる回復機能が低下することが明らかになりました。
IGFBP4によるIGF-1の美肌効果への影響
実際に、IGFBP4を肌の細胞に添加してIGF-1の働きを阻害する作用を確認しました。その結果、角化細胞では、IGF-1による細胞増殖が阻害され、新陳代謝が滞ったり、うるおい成分の生成が抑制されることがわかりました。線維芽細胞では、コラーゲン生成が阻害されることがわかりました。
- 第81回 SCCJ研究討論会(2017)