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美しさにまごころこめて

日本メナード化粧品株式会社

HOME 研究・商品開発 主な研究 シクロデキストリンを用いた新規W/O乳化技術

日やけ止めなどに利用されるW/O乳化製剤では、疎水性のシリコーンに親水基であるポリエチレングリコール(PEG)を導入した「PEG変性シリコーン」が乳化剤として汎用されています。しかし、PEG変性シリコーンを用いたW/O乳化は安定性に課題があるため、乳化剤を多めに配合したり、増粘剤を添加したりすることで製剤の安定性を保つ必要があります。その結果、べたつきや重い使い心地につながってしまいます。
この課題に対し、α-シクロデキストリン(α-CD)を用いて油水界面でPEG変性シリコーンと超分子複合体を形成させると、W/O乳化において安定性が劇的に向上することを見出し、できた製剤を「超分子エマルジョン」と名づけました。

超分子エマルジョン

この「超分子エマルジョン」の技術により、W/O乳化製剤における乳化剤や増粘剤の配合量を最小限とすることが可能となります。


超分子エマルジョンについて

超分子とは、複数の分子が水素結合などの比較的弱い相互作用によって秩序高く会合して形成される分子集合体のことをいいます。ポリエチレングリコール(PEG)とα-CDは超分子複合体である擬ポリロタキサン構造※1を形成することが知られています。メナードは、これを界面化学に応用することでW/O乳化の保存安定性が劇的に向上することを見出し、「超分子エマルジョン」を開発しました。

擬ポリロタキサン構造
※1Complex formation between poly(ethylene glycol) and α-cyclodextrin:
A. Harada, and M. Kamachi, Macromolecules, 23, 2821-2823 (1990)

超分子エマルジョンによるW/O乳化の安定化効果

PEG変性シリコーンを乳化剤として用いたW/O乳化において、α-CDを含む製剤と含まない製剤を調製し、50℃で約1か月間保存した後の安定性を比較しました。調製直後は、α-CDの有無によらず良好な乳化粒子のW/O乳化が得られましたが、1か月後に比較すると、α–CD未配合のW/O乳化では乳化粒子が粗大化するのに対し、α–CD配合のW/O乳化では調製直後と同等の乳化状態を維持していることがわかりました。

超分子エマルジョンによるW/O乳化の安定化効果
  • 第60回日本油化学会年会(2021)
    ヤングフェロー賞受賞
  • 第74回コロイドおよび界面化学討論会(2023)
※すべて自社データ ※すべての図、イラストはイメージ
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